新長田の家 内観 住宅密集地に建つ老夫婦のための住宅である。南側が狭い路地に接する本計画地は、採光の確保と通りからの視線遮蔽が課題となる。ここでは、南面すべてを開口としつつも、透過と半透過の部分を交互に配し、リビングや寝室への十分な採光と適度な遮蔽感の実現を目指した。

 開口部はすべて引違い窓として開閉可能とし、型板ガラスとツインカーボにより半透過とした部分に鋼製ブレースを配し、室内から見えないように工夫している。外観は規則正しく配した屋根の煽り止めにより、合理化を徹底した長屋のファサードを強調した。

 この住宅は、将来用として、1階を寝室、2階を介護者の宿泊に対応できるよう配慮している。水回りや収納を北面に集約し、南面にリビングや寝室を最大限に確保し、リビングを水回りの隣接する高齢者用の寝室へ転用する計画である。

 内部は、耐震壁の構造用合板をそのまま現しとして、コストを抑えつつ木のぬくもりが感じられる空間とした。加えて、採光と視線の遮蔽に配慮した開口部や、将来の転用に配慮した平面計画により、いつまでも暮らしやすく、一日中穏やかな光に包まれる高齢者のための環境づくりを心掛けた。