福井県小浜市の商業スペースを併設した観光案内所である。西側の歴史的な街並みと東側の街の中心施設が集まる地区の交差点に観光や散策の起点となる開かれた建築が求められた。

屋根を西側から連続する歴史的な街並みに調和するように、金属、瓦、ガラスの3種類の素材を用いて、小さな屋根が連続している意匠とし、象徴的な屋根の下にどこからアクセスできるように計画した。伸びる縮みしている庇により、隣接する広場と境界をつくる。庇下の小さな居場所は、日常的には町屋が立ち並ぶ賑わいのある通りのような雰囲気を作り出し、イベントが行われる際には、内外を一体的に連続させ活用する場所となる。

柱・梁を小径材で構成し、内部や細部にまで小さな町屋のスケール感を与えることに配慮した。小径材による繊細な構造と町家のように連続する屋根の組合せにより、大きな建築でも周辺に威圧感を与えることなく、伝統的な町並みに調和する建築のあり方を提案した。