クライアントの70代の独居高齢者の母が、お店を営みながら生活する小さな住宅である。
お店と過ごしやすい生活空間の組合せに工夫し、周辺の雰囲気ごと明るく変えれないかと考えた。
そこで住宅街に面する北側を住宅の表情とし、商店街に面する東側は軒先を題して店のイメージを与える。
これを環境に応じて変化するファサードとして、これに焦点を与えるために、
屋根をシルバーの明るい金属板とし、屋根が開いた軒下に表情の変化するファサードを構想した。
室内の部屋は極力壁で仕切らず、吹抜空間を利用して段差により区分し、
家族間での緩やかな気配や一体感を感じることができるように配慮した。
その結果、たまに来訪する家族が宿泊するときには、家族が集まり、日常は一人で過ごすなど、吹抜を取り巻く空間により自由に機能する。
実は近年、韓国でも地震に対する懸念から、日本の木造住宅のプレカット工法
(壁式構造でなく、設計段階から構造耐力を計算し、工場で木材を加工して建設する)
が注目され、木造住宅が新しい選択肢として浮上してきている。現に釜山には日本企業のプレカット工場が進出している。
本件は、プレカット工法を用いて耐震性能の確保と構造設計を合理的に行い、構造体のコストをこれまでの韓国の木造住宅の約25%削減している。