このホステルは市内中心部に建つ。客室をやや小さめの設計とする代わりに、1 階部分には世界からの旅人が交流するための共用スペースを設けることとした。京都特有の奥に長い敷地に配置された入口のバーからロビー、ラウンジまで旅人には奥までワクワクしながら進んで頂くため、ファサードには吊った軽快な庇の下にアーチを設け、旅の特別な体験を演出することにした。これらの共用スペースは、時にイベントスペースとして多目的に活用される。
祇園祭の時に庇の下の大型ガラス戸は全開される。このとき軒下空間は、共用スペースをまちに接続するための縁側として機能し、鉾見台をあしらった2 階のテラスと共に、祭りの時に出現する昔ながらの和の環境を最大限に取り込む装置となる。このように外観内観の雰囲気づくりに配慮し、ホステルという枠組みを超え、建築自体が旅人の思い出を増幅する装置となることを目指している