望遠鏡的空間体
くびれた空間の反復により目の前の風景がより迫る体験を増幅させる-目の前のパノラミックな自然をもっと効果的に見せる建築とは?」目の前に美しい自然が広がっていても、住まいにはどうしても内外を仕切る物理的な境界が必要となる。韓国の冬の厳しい寒さを制御するために境界を確保しても、その境界が断絶とならない、むしろ外に広がる自然をより効果的に見せる境界を創出する方法はないか?思考をここから始めた。目指したのは「望遠鏡的空間体」である。韓国も日本と同様、一般的には部屋は直線により区分される。直線の代わりに二つの曲線を対称に用いると、点で接していた空間はくびれで接続される。この空間のくびれは、単に空間同士を接続するだけでなく、曲面と曲面の間を進むと隣接する空間に吸い込まれていくような空間体験を与える。通り抜けながら、徐々に見えてくる外の自然をより近づける。「望遠鏡的空間体」とはこのような空間体験を増幅し反復させる装置である。全体の構成としては、敷地の入口から二つの曲面が出迎えるようにした。異なる高さの曲面により緊張感を与え、住宅内部へと自然に導く。内部では吹抜や階段を通して壁の高さが徐々に変化することを感じさせ、外部からもこの小気味よく展開される曲面群が見て取れる構成に配慮した。