東と北に開かれた敷地特性を活かした、低層が店舗となる共同住宅のあり方について考えた。
居住空間の前のバルコニーが室内を暗くし、設備置き場化する、従来の配置を避け、バルコニーを最小化し側面に配置する。開口部を最大化した室内部分を前に出し、外部に連続しながらも内部に光をもたらす場所として用いた。
構造体は最小限となるよう、梁せいをできるだけ小さく、梁型が出ないスパンと構造体の関係を追求した。最小のコアを耐震要素とし、間口8m の間の1 本の壁により、梁せいと階高を抑えた。結果、狭小敷地に、梁せい250、階高2480、室内天井高2200 を確保し、高さ20m に8 層を入れる構成とした。低層部が店舗、上が12 戸の共同住宅である。
構造壁が最小限に配置され、断面寸法が極力小さくした最小の構造体をアルミ製のシルバーの金属板で覆う。東や北の弱い光にも反応して、時間や天候により微妙に異なる姿をつくりだす。共同住宅が立ち並ぶ大井町のビル群の中で、最小の構造体、最大の容積、最大の開口部等、建築の基本的な操作により、このビルが特徴付けられることを目指した。