展示コミュニケーションのアクティビティをキャンパスの新しい顔にする
京都精華大学は、岩倉の山々に囲まれた谷間に位置し、建物群が渓流に沿って山に張り付くように点在する。計画した新明窓館は、大学が2024年度を到達点とするビジョン「2024 SEIKA」で掲げた(1)表現の大学、(2)リベラルアーツの大学、(3)グローバルな大学の3つを結合した新しい大学像を体現しながら、渓流の終着点である、すり鉢状の広場に囲まれた既存の天ヶ池に接合する。既存を踏襲した勾配屋根のボリュームから学生の自主的な活動や情報発信の場を表出させることで、「キャンパス全体の新しい顔」をつくりたいと考えた。まず南北で3.5m異なる高低差に合わせて建物内の床レベルを確定した。北側の本館やバス停と繋がる2階をメインフロアとして階高を上げ、南側の清風館側よりアクセスする1階は地中のような雰囲気、3階は背面の山が感じられる空間、4階は勾配屋根が感じられる空間とした。内外を巡る動線は、フロアごとに異なる体験をひとつに繋ぎ、行き止まりのない回遊性の高い空間をつくる。大学オリジナルの「展示コミュニケーション」の言葉のごとく、京都精華大学展2022卒業・終了発表展では、建物内どこでも制作展示や発表の場となった。講演会やイベントに使用できる522席のメインホールに加えて、大型ギャラリー「Terra-S」、ギャラリーと連動したワークショップや講座などでも利用できるアクティビティコモンズ、学内での国際交流を促進するIC3(アイシーキューブ)、グローバルラウンジやグローバルカフェなどが併せて開設された。学生たちが異文化に触れ、キャンパスの自然豊かな環境を感じながら新しい価値観を学べる、京都精華大学の中心的施設になることを期待する。