設計者として関与した時より、四条通り特有のポケットパークや植樹のない歩行空間に問題意識を憶えた。四条通りは、地区計画において京都の中心的な商業・業務地区のメインストリートにふさわしい整備が求められている。ここに新しい景観基準を誘導すべく、「緑を纏う」建築を構想した。
植物は四季折々に変化し、群となって落ち着いた風合いある壁面を構成する。条例により厳しく規制される看板と違い、緑化は決して強い主張とならない。緑化は、四条通りのテナントビルに誘目性を自然に与え、人を自然に惹きつける。この緑の誘目性は視線計測装置を用いて検証した。屋上の全面的な緑化は、通りに面する緑化可能なエリアの緑化を先導し、屋上の土壌による建物の省エネルギー化と植物の蒸散作用により、ヒートアイランド現象を抑制する。地形のように隆起した屋根は、様々な居場所をつくりだし、祇園祭を眺める広場、対面教室となる屋上のテラスがまちのポケットパークとして機能する。
緑を纏えば、通りに緑地が生まれ、テナントに求められる誘目性が得られる。「緑ノビル」が通りの環境の一部となって、四条通りに立ち並ぶ建築のあり方を先導することを期待している。