錦市場に並ぶ路面店舗の裏側には多くの未利用の空間が存在している。未利用の空間は、建物の劣化が進行しやすいため、積極的に活用する必要がある。

錦市場は、かつては主に地元客に利用される「京の台所」であったが、観光客が増加し、年齢層も幅広い。固定客から一元客への変化や、食品(モノ)を買う行動から、食事・体験など非日常的なコトを楽しむ行動への変化が生じている。

裏錦・空錦・小錦は、このような変化に対して、錦市場の裏側に存在する未利用の空間を活用し、路面店舗から裏側に客を引き込む仕組みである。一つの店舗を拠点としながら、次世代の錦市場のあり方を提案した。

 

裏錦

・既存建物間に残っている隙間、路地空間、建物内の通り抜け通路等を繋ぎ合わせる

・隙間を繋ぎ、街区内を通り抜けできるようにすることで、敷地裏側の未利用空間に利用価値を持たせる

・繋ぎ合わせた隙間は災害時の避難ルート、火災時の延焼を抑制スペース、店舗の共有作業場、搬入ルートに活用する

空錦

・垂直方向の動線をつくり、空スペースとなりがちな2階以上の空間の利用価値を高める

小錦

・街区内や複数店舗間の通り抜けルートをつくり、各店舗が小さな商店街(マイクロ商店街)として連続させる