モーターの回転をナノレベルで制御するシステムを製品とするベンチャー企業の研究施設である. 研究者同士がコミュニケーションをとりやすい研究環境の実現と, 建物の省エネルギー化, 長寿命化, 省資源化を図り,研究開発の生産性を追及する企業の思想を標榜するビルディングスタイルを追求した.
建物中心に中庭を設け, その外側に研究室、設備バルコニーが取り囲む単純な図式. これによって, 内部に行き止まりのない動線をつくり, 中庭を介して視線が抜ける空間とした. 設備機器は供給エリアに最も近い位置に配置して効率化を図り, 外周部のバルコニーによって外装や設備機器の維持更新を容易にした.
内部の間仕切壁, 外装はすべてALCとし, 構造スパン@8,400, 室単位@4,200, 内外装 ALCやデッキプレート@600, ルーバー@300として, 材料の種類を抑えて, 徹底したモジュール化を行った.
外周部のバルコニーを包む溶融亜鉛メッキの有孔折板. 16mmの鉄板が自立する風除室.これらによって, ベンチャー企業の研究所に相応しい未来志向の佇まいを表現した.